湿疹・皮膚炎には様々な種類があり、その病態に合わせた治療法が必要です。代表的な疾患について解説します。
接触皮膚炎
なんらかの刺激物質や抗原が皮膚に接触し、その刺激による反応でかゆみをともなう湿疹が出ます。いわゆる「かぶれ」です。
【原因】 身の回りにある、化粧品や香水、ヘアケア用品、指輪やピアス、時計、貴金属などの宝飾品、衣類、家庭用洗剤、医薬品、そのほか植物、動物などです。
脂漏性皮膚炎
頭部や顔面の皮脂が多いところに発症し、頭部では「フケ」であることが多く、顔面は赤みをおびた皮膚炎となって、軽快と増悪を繰り返します。
【原因】シャンプーや整髪料なども原因になります。またストレス、不眠、飲酒などは症状を悪化させます。最近では真菌感染であることも原因の一つと考えられています。
【治療】頭部には低刺激性シャンプーを、顔面には抗真菌薬などを処方します。症状が改善しない場合はステロイド剤を使用する場合があります。先ずはご相談ください。
アトピー性皮膚炎
かゆみを伴う慢性の皮膚炎で、乳幼児に多くみられますが、近年は大人の方が増える傾向にあります。詳しくはアトピー性皮膚炎のページへ
皮脂欠乏性皮膚炎
主に高齢の方で冬の間に皮膚が乾燥することによって起こる皮膚炎です。腰から足にかけて、フケ状に皮膚が剥がれ落ち、強いかゆみを伴う場合があります。
【原因】老化にともなって、皮脂分泌機能が低下することで、皮膚の乾燥症状を生じさることが原因です。冬季は湿度も低いため症状が悪化します。
【治療】体を洗いすぎることは、皮脂を流してしまいます。保湿剤などの処方を中心に治療していきます。
多形滲出性紅斑
発熱や倦怠感に続いて、手足などを中心に、手のひら、足の裏にかけてやや盛り上がった水っぽい紅斑(こうはん)が多数できます。時に水疱(すいほう)を伴う場合があります。
【原因】ヘルペスウィルスやマイコプラズマなどの病原体や薬、食物、内分泌疾患、がんなどが原因となる場合があります。
【治療】採血などを行って原因を調べる場合があります。ステロイド外用剤、抗ヒスタミン薬などを用います。
痒疹(ようしん)
強いかゆみを伴って硬い結節(けっせつ)が四肢などに現れ、場合によっては全身に広がります。
【原因】虫刺されによるものが多いですが、アトピー性皮膚炎などの場合もあります。
【治療】ステロイド外用剤と、かゆみに対しては抗ヒスタミン内服薬などを処方します。